2012年5月9日水曜日

印刷用紙のプリンタ適性について

印刷会社などでは一般印刷用紙を、社内のデジタル印刷機やレーザープリンタで使用しています。 印刷会社では、出入りの紙屋から一般印刷用紙が安く入手出来るからです。

プリンタ用紙はプリンタメーカーや文具メーカーのブランドで販売されていますが、生産は当然ながら製紙メーカーが行っています。
流通のルートが長い為、一般印刷用紙に比べて価格が高い物が多いと思われます。

一般印刷用紙をプリンタ用紙として使用する場合の注意点などを加えて説明したいと思います。

一般印刷用紙は、大きく分けて塗工紙と非塗工紙に分類出来ます。 非塗工紙の代表的な紙が上質紙になります。上質紙は一部の薬品を除けばほぼパルプ繊維からできています。

紙の表面もパルプ繊維の為、水系のインクも吸収しますし、トナーも食いついて定着します。 一般的に使われるコピー用紙とほぼ同じで、厚みの種類がイロイロある紙と考えて下さい。
上質紙はコピー用紙と同様にインクジェットプリンタでもレーザープリンタでも使用可能です。 ただし、インクジェットプリンタでの印刷品質はインク濃度や彩度が低く、普通紙レベルで写真などの印刷には不向きです。

レーザープリンタでの印刷品質は、問題なく使用できるレベルになります。 この上質紙の品質を高めて紙の表面の平滑性を高め、白色度を上げカラー印刷の見栄えを良くしたマルチペーパーもあります。
各製紙メーカーがそれぞれの名前をつけていますが、プリンタメーカーブランドで販売されている量の方が多いようです。
マルチペーパーという名前の通り、プリンタを選ばずに使用できます。

非塗工紙のプリンタ適性は問題ありませんが、塗工紙はイロイロな問題があります。
一般印刷用紙はオフセット印刷適性を上げる為のコーティング剤が塗られております。
オフセット印刷は水と油性インクの反発を利用して印刷しており、オフセット印刷適性を上げる為のコーティングは、紙の表面を親油性にし水を弾くようにしています。
その為、カレンダーやポスターなどに使用されている印刷用コート紙は、水系のインクを使用している一般のインクジェットプリンタでは、インクが全て流れてしまいます。
スーパーのチラシに使われている微塗工紙などは、塗りが少ないのでインクを多少は吸収しますが、コピー紙などより印刷品質は落ちます。

レーザープリンタ適性はどうかと言いますと、問題はありますが使用可能な用紙が多いと言えます。 印刷会社の多くはレーザープリンタや同じ原理のデジタル印刷機に、一般印刷用紙であるコート紙を使用しています。
ただし、若干の問題もあります。一般の印刷機は紙をバキュームで吸って一枚ずつ印刷機に送ります。その為一般印刷用紙は紙の表面の摩擦抵抗値をコントロールしていません。
印刷会社の方はそのことを知っていますので、使用前に紙を良くさばき紙と紙の間に空気をいれ、ロールで給紙する為重走が起こりやすいプリンタでの走行トラブルを防いでいます。

また、紙の両面をコーティングされたコート紙のコート層には通気性がありません。湿度が高い時などはコート紙のベース紙の湿度が高く、レーザープリンタのヒートロールの熱で気化した水蒸気がコーティング層を押し上げる火ぶくれ現象が起こりやすくなります。
その為印刷会社では、紙を湿度の低い場所に保管して使用します。これらの点を注意すれば、価格の安い一般印刷用紙を使用できます。

紙屋が出入りしていない一般企業では、印刷用紙の入手が安くなるかは分かりません。
私が運営しているネットショップのこのページで一般紙を販売しています。


レーザープリンタ用紙については、こちらで説明しています。

インクジェット用紙については、こちらで説明しています。

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